夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
その頃ーー。
愛おしい人が孤独に追い込まれている事さえ知らず、私は過ごしていた。
「……おやすみなさい」
絵本を読み聞かせをしているうちに、ヒナタとヒカルは夢の中。
二人を寝かしつけた私は、電気を消して子供部屋を後にした。
静かになった夜の居間。
ソファーに座って、目の前のテーブルに置いてあったポケ電を手にした。
着信もメッセージの報せもない画面を見て、私が思い出していたのは……アラン様の事。
大嫌いな筈のあの人《アラン様》を私が思い出しているのには、訳があった。