夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

今日1日、本当に楽しそうだったもんね。
マオさんと一緒に遊んでいた時の様子を思い出して、よほど彼の事が気に入ったのだと思った。


けれど。
ヒナタがマオさんをここまで気にかけるのには、もっと深い意味があった。


「ヒナタは、マオさんが大好きなのね?」

それは何気無く、ただ話題を明るくしようと思った私の口から出た質問。

しかし。
その質問に対する娘の返事は、思いもしなかった一言。


「うんっ、だってね……。マオさん、パパとおなじにおいがするんだよ!」

「!っ……え?」

驚きのあまり、本当に心臓が止まるかと思った。
ドクンッと一気に跳ね上がった鼓動を身体に響かせながら目を見開いて見つめる私をよそに、ヒナタはその場を駆け出すと寝室の壁際にあるクローゼットを開けた。

そこに収納されているのは、夢の配達人時代にヴァロンが使っていた衣装の数々。
スーツや、変装に使っていた、ヴァロンの服だ。
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