夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「ねぇ、アランさんもママのおべんとーいっしょにたべよ〜?」
「ママのごはん、おいしいの〜」
「えっ?……あ、いや。……」
子供達の誘いに、アラン様は戸惑っていた。
少し困ったようにチラッと私を見て様子を伺う姿と表情。
子供達の前で怒鳴りたくない。それに、そんな彼を見るといつの間にか彼に対する嫌な気持ちが、薄れていっている自分がいる事に気付く。
「……どうぞ。お口に合わないでしょうけど」
でも、認めなくなかった。
子供達は特に敏感だから、アラン様が根っからの悪い人ならば懐いたりする筈ない。そう、分かりながらも……アラン様を認めなくなかった。
認めたく、ないのに……。
「ーー美味いな。
今まで食べた玉子焼きの中で、1番美味い」
そう言って、笑うから……。
「でしょでしょ?」
「アランしゃん、こっちもたべて〜」
「……うん。
我が家のシェフより見事な腕前だな」
子供達と和気藹々として、和やかな空気の中で、時折私を優しい瞳で見つめてくるから……苦しくなった。
認めちゃいけない。
そして、気付いちゃいけない。
私を見つめるアラン様の優しい瞳の意味に……。
自分にそう言い聞かせて、過ごす日々。