夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
けれど、私は知ってしまう。
本当のアラン様と、その想いに……。
……そして。
そのうちアラン様は、時々マオさんの事を話してくれるようになった。
マオさんが最近仕事に精を出している事と、新しいカフェの企画案にどちらが採用されるか勝負をしているという事を……。
すると、ずっとずっと気を付けていたのに……。
マオさんが元気に頑張っている話を聞けて、安心して嬉しくて、私は思わず気が緩んで微笑ってしまった。
その時ーー。
「……お前の気持ちは分かってる。オレよりも兄上に、頑張ってほしいのだろうな」
アラン様がポツリと呟いた。
その呟きに「え?」っと目を向けると、アラン様がじっと私を見つめていた。
ドクンッと鼓動が響いて、心がザワつき始める。
「!っ……あ、当たり前です!
私はいつだって、ヴァロンのっ……、マオさんの味方ですから!」
見つめられて、動揺して、ついついキツい口調でそう言い放ってしまう。
だって、困る。
そんな優しさの中に悲しみが込もった瞳に見つめられたら、アラン様を嫌な人だと思えなくなる。