夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

お祖父様の秘書さんが持ってきた私への求婚を申し込んでいる人達のリストの中にあった、アラン様の名前。
あれを見た瞬間、信じられなくて腹が立った。

私をからかっているの?
またシャルマ様の企てに加勢して、私を利用するつもり?
私と愛する人をまた引き裂くつもり?

……そう、思っていた。
あの時のキスも、ポケ電に勝手に番号を登録した事も。こうして私の元へ通うのも、全部全部悪い企みだと思ってた。


ーーううん。そう、思いたかった。
それなのに……。

「応援してくれなんて言わない。
だが、もしオレが兄上に勝ったら……褒美をくれないか?」

「!……え?」

「お前からの褒美が欲しい」

「っ……なんで私がッ!
大体あなたが喜ぶような物、私が用意出来る訳ないでしょうっ?」

私の願いも虚しく、アラン様はどんどんと私の心の中に踏み込んでくる。


「……弁当を作ってくれ」

「!っ……はい?」

「オレの為だけに、弁当を作ってほしい」

その願いに、胸が締め付けられる。
アラン様は、まるで子供みたいに私にそう強請った。


ーーっ、何よ。
今まで強引に、ズケズケと人の気持ちに踏み込んで来たのに……。
何で、そんな優しい表情と声で、そんな事言うの?

……
…………。
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