夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
ヴァロンを取り戻したいと焦る気持ち、お祖父様の事での不安……。色々と重なってたくさん悩んでしまったが、迷った末に強く想ったのはやはり愛おしい人の事。
本当のアラン様を目の前にしたあの時は拒絶出来なかったが、この1週間の間に気持ちの整理がついた。キッパリと言おう。
"どんな結果でも、貴方にお弁当は作れない。
もう、来ないで。連絡して来ないで下さい。"
って……。
ごめんね、ヴァロン。
私が愛してるのは、貴方だけだよ。
ピリリリリーーッ……!!
「!!っ……」
愛おしい人を思い浮かべて、心の中で謝った直後。ずっと握りしめていたポケ殿が手の中で鳴った。
着信相手は、もちろんアラン様。
深呼吸をして、ゆっくりと電話に出た。
「はい、もしも……」
『ーーアカリ様!兄上がそっちに行っていないか?!』
「!っ……はい?」
もしもし、を遮られて、しかも勢いよく続くアラン様の予想外の言葉に、私は一瞬何を言われているのか分からなかった。