夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「あ、兄上って……マオさん?
マオさんがこっちに来る訳……」
『ーー兄上がいなくなったッ!!』
!!ッ……え?
またも私の言葉を食い気味に言い放たれるアラン様の言葉。
訳が分からなくて、頭の中が真っ白だ。
『ポケ電も繋がらない!
何処か心当たりはないかっ……?!』
でも、電話の向こうから聞こえくるアラン様の声。その焦り声が、冗談や私を騙そうとしているとは思えなかった。
さっきまでの悩みや想いが一気に消えて、私の心の中はヴァロン一色に変わる。
「っ……い、いなくなった、って……なに?
何か、あったって……事?っ……。
ねぇっ?!何があったのよーー……」
ドクンッと身体に嫌な音を響き渡らせながら、私はアラン様から事の経緯を聞いた。
ーーごめんね、ヴァロン。
私が馬鹿だったよ。本当に、馬鹿だった。
私ね。お祖父様の事や、今の貴方の事を考えて、ほんの一瞬だけど……もうこの恋をやめようと思ったの。
今の貴方には、ミネアさんがいる。
今の貴方には、新しい仕事と居場所がある。
『アランなら……きっと、幸せにしてくれますよ。
っ……だから、これからは……会う時は、アランを通じて……会いましょう?』
貴方にそう言われて、私なんて、もういらないのかな?って……。
私が貴方に出来る事は、もう何もないのかな?って……。