夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
***
翌日ーー。
船が目的地付近の港に着いたのは、もう夜に近い夕方だった。
「後1時間もすれば辺りが暗くなってしまって危ないから、港で一泊した方がいい」って船長さんに言われたけど、お金もそんなに残っていないし、少しでも早く目的の砂浜に行きたかった僕は船を降りるとすぐに歩き出した。
幸い、今夜は天気の良い満月。夜道でも普段よりは明るく照らしてもらえる。
それに、暗い夜道も、先の見えない夜道も……。記憶を失ってからの日々に比べたら、怖くなんてない。
「もうすぐ、会いに行くよ……」
ーーなんてね。
満月を見上げて、そう呟いて僕は微笑った。
月姫の祈り。
初めてこの絵本を読み終わった時。胸が締め付けられて、自然と涙が溢れてた。
満月の夜に願いを叶える事の出来るー月姫《つきひめ》ーと呼ばれる少女と、同じ村に住む幼馴染みの少年の物語。
無理矢理な婚姻で、月姫《つきひめ》とその能力《ちから》を手にしようと企む大国の王様の手から逃れようとする、いわゆる駆け落ちの恋物語だ。
少年は囚われていた少女を助けて、二人で新たな地で暮らそうと誓い合って、逃げて……。一度は幸せを掴みかける。
翌日ーー。
船が目的地付近の港に着いたのは、もう夜に近い夕方だった。
「後1時間もすれば辺りが暗くなってしまって危ないから、港で一泊した方がいい」って船長さんに言われたけど、お金もそんなに残っていないし、少しでも早く目的の砂浜に行きたかった僕は船を降りるとすぐに歩き出した。
幸い、今夜は天気の良い満月。夜道でも普段よりは明るく照らしてもらえる。
それに、暗い夜道も、先の見えない夜道も……。記憶を失ってからの日々に比べたら、怖くなんてない。
「もうすぐ、会いに行くよ……」
ーーなんてね。
満月を見上げて、そう呟いて僕は微笑った。
月姫の祈り。
初めてこの絵本を読み終わった時。胸が締め付けられて、自然と涙が溢れてた。
満月の夜に願いを叶える事の出来るー月姫《つきひめ》ーと呼ばれる少女と、同じ村に住む幼馴染みの少年の物語。
無理矢理な婚姻で、月姫《つきひめ》とその能力《ちから》を手にしようと企む大国の王様の手から逃れようとする、いわゆる駆け落ちの恋物語だ。
少年は囚われていた少女を助けて、二人で新たな地で暮らそうと誓い合って、逃げて……。一度は幸せを掴みかける。