夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

……でも。
滞在していた港町の宿屋の主人と王様が密かに繋がっており、2人は見つかってしまって、その結果……少年は殺されてしまう。

目の前で愛おしい人を失った少女は、深い哀しみから増幅した怒りと憎しみを抑えきれなくて、月姫《つきひめ》の能力《ちから》で王様とその部下達と、町の人……。つまり、町ごと滅ぼしてしまうんだ。

その後、人間界と死後に旅立つ天界の狭間で少女はある選択を迫られる。

『彼を生き返らせる事は出来ません。でも、来世へその魂を導く事は出来ます。
けれど、今の彼とは全く別の人間です。今世の記憶や想い出は全て消えてしまいます』

謎の光は告げた。

『そして、残念ながら貴女は彼と一緒に生まれ変わる事は出来ません。
不運な事故、とはいえ、たくさんの命を奪った貴女に……。今、来世へと開く扉は、ありません』

『罪を償う方法はありますが、容易いものではありません。何百年、何千年かかる事も……。
仮に生まれ変わる事が出来ても、彼ともう一度出逢える可能性はとても低い。運命の神によって遮られ、かなり困難な道になるでしょう』

悲劇が生んだ、哀しい恋の結末。
< 256 / 411 >

この作品をシェア

pagetop