夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

少し時間が遡《さかのぼ》りーー。
マオさんがいなくなったと報告を受けた、約1時間後……。


「はぁっ、はぁっ……!」

私はポケ電や財布、最低限必要な物が入った小さな鞄を肩に掛けて全速力で走っていた。
目指す場所は乗船場。そこから出る今日最後の夜行の船に乗る為に……。

アラン様からマオさんが失踪したと連絡を受けて、レナとレイを呼んで子供達と自宅の留守を任せたまでは良かったけど、何処をどう探せばいいのか……あてはまるでなかった。
そんな私に、一本の電話が入ったの。相手はお祖父様。

『マオ君から私のところに電話があった!私の別荘付近の砂浜に行かせて欲しい、と……』

ーー驚いた。
まさかマオさんが、別荘があるお祖父様の所有地へ向かっていたなんて……。
でも、それと同時に安心と期待が膨れ上がる。
お祖父様の別荘がある砂浜は、私とヴァロンにとって想い出の場所。17歳の時、召使いになってくれたヴァロンと出会った場所だからだ。
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