夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「す、すみませんでした!急いでいてっ……前をよく見ていなくて……。あ、ありがとうございま……、っ……!」
ーーでも。
安堵したのもつかの間、ゾクッとした。
見上げる私を見降ろす、冷めた氷の刃のような視線に……。
「ディ、ディアス……さん?」
思わず声が震えた。
私を支えてくれていたのは、マオさんの側近のディアスさん。
私が名前を呼ぶと、ディアスさんはニッコリと微笑った。
「……お久し振りでございます、アカリ様。こんな夜更けに、一体何処へ行かれるおつもりですか?」
「っ……」
何処へ行かれるおつもりですかーー?
その言葉は飾り。
そう尋ねているのに、尋ねていない。
絶対にディアスさんは、私がこれから向かおうとしている先を知っている。
だからここへ来たのだと……。私とマオさんを会わせない為に来たのだと、分かった。
……でも。
そうだと分かっても、黙って言う事を聞く訳にはいかない。私にだって、これ以上譲れないものがあった。