夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「私は……今からマオさんの元に行きます」
短く深呼吸して、覚悟を決める。
私はディアスさんから少し離れると、自分の脚でしっかりと前に立った。
「彼に、逢いに行きます!」
ディアスさんの瞳をしっかり見て、そう伝える。
逃げようとしたところで、全力で走ったところで、敵わない相手だからではない。
逃げちゃいけないのは、心の方だからだ。
自分の意志をハッキリして示さなければ、この先何も変わらない。
「お願いします、行かせて下さいっ……!」
真っ直ぐ進む為に、嘘や欺きはいらないーー。
自分の決めた未来に向かう為、私は今の素直な気持ちを告げた。
すると……。
「……っ、ははっ」
一瞬目を見開いて驚いた表情をしたディアスさんは、片手で頭を抱えるようにして、苦笑いした。
「ーー本当に、真っ直ぐなお方だ。
素直で、強くて、本当に美しい……」
苦しそうな表情で、私に言う。
その瞳に灯るのは、優しくて哀しい光……。