夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

「調査員ではなく、私個人の意志。
友達と、自分の父親の幸せを守る為にここに居るんです!」

今度こそ、なりたい自分になってみせる。
幼い頃に憧れた、大好きな勇者様が幸せになれる道を共に切り拓く女戦士にーー。

もう迷ったり、逃げたりしない。
相手は夢の配達人のSランクに引けを取らない実力を持つディアスさん。シュウ様に言われて密かに張り付いていたけれど、すでに気付かれていた。
きっと私が勝てる相手ではない。


……でも、勝てなくてもいい。
アカリさんの乗る船が出航するまでの時間を稼げたら、それでいい。

そう、思った。
しかしそんな甘い考えは、この後瞬時に打ち砕かれる……。


キッと見据えて、相手がどう出るか一瞬たりとも気を許さないよう身構える。
すると、ディアスさんはふぅ……っと短く溜め息を吐いた。

「……困りましたね。
貴女様はヴァロン様のご息女。仮にもリオン様の血縁にある貴女を傷付けたくはないのですが……」

そう言いながら懐から結い紐を取り出すと、背中まで伸びた長い黒髪を束ねて、ディアスさんも私を強い瞳で見つめ返してきた。
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