夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「きれ〜い。それに、おねえさんすごくいいにお〜い!」
「!……え?」
お姉さんーー?
ヴァロン様は屈んで目線の合っている私を、まっすぐ見て、笑顔でそう言った。
思わず手が止まる。
私の髪が長いから、そう言ったのかも知れない。
けれど、それだけで今まで私を女性だと言い当てた人などいなかった。
それに……。
「ぼく、おねえさんのことだいすきだよ!
いつも、ありがとう!」
「!!ーーッ……」
無垢な笑顔と美しい心に、私の醜い黒い感情は嘘のようにスーッと消えていった。
そしてヴァロン様の瞳の輝きから、私を間違いなく女性だと確信しているのだと……分かる。
この時初めて、私は本当はヴァロン様はリオン様に瓜二つなのだと思った。
リオン様とヴァロン様、お二人を取り巻く雰囲気は穢れのないもの……。そう、空想のものに例えるのならば、お二人は天使のようだった。
「……勿体無いお言葉でございます、ヴァロン様」
私の手は、いつの間にか自分の胸と膝に行き、跪いてそう言っていた。