夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

……
…………それから。
私がヴァロン様を見護るのは、ただ単に"リオン様の命だから"ではなくなった。
自らお仕えしたいと、命を懸けてお護りしたいと思える君主がもう1人増えたのだ。


リオン様が去り、アンナ様と離れ……。厳しい幼少期を過ごされても、成長なされて幾度となく辛い試練に襲われても、私が惹かれたヴァロン様の美しい心が変わる事はなかった。

そして。おいくつになられても、ヴァロン様はちゃんと"私"を見抜いてくれていた。

『もう付き添いはいいからさ、お前もちゃんと休めよ。睡眠不足は美容に良くねぇ!女の敵だぜ?』

脳の手術を受ける少し前、病とアカリ様達と離れたご心労を心配してずっと付き添っていた私に、ヴァロン様はそう言って下さった。

手術後。
ご記憶を失くされて、マオ様になられても……。

『ディアス!
もっと、自分の事も大切にして?女の人が顔に傷作っちゃ、ダメだよ……』

私がマオ様を庇って代わりに怪我をした際、そう言って悲しそうな表情《かお》をしながら手当てをして下さった。
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