夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
そしてユイ様は、更に私の痛いところを貫いてくる。
「あなたの護り方は間違ってるっ……。"あなたが父を護る為にしている事"を知ったら、絶対に父は……ッ」
「ーーお黙り下さい」
ユイ様の言葉を遮って、私は顔だけ振り返った。
悲しそうな表情と"あなたが父を護る為にしている事"と言う言葉から、彼女が私の秘密を知っているのだと悟った。
それは私にとって、ヴァロン様《マオ様》には1番知られたくない秘密。
……思い返せば、事の始まりはアンナ様とヴァロン様から引き離されたリオン様に付いて、私も一緒にシャルマ邸に戻った時の事だった。
私はリオン様の執事だったが、その役職を……。私の家系の全ての運命を握っているのはシャルマ様。
当時、リオン様の家出先を知りながらお伝えしなかった私は、その役職を剥奪されかけていた。
どうしてもリオン様のお側に居たかった私は、必死に謝り頼み込んだ。その時……。
『ならば、もう二度と私に逆らえぬようにしてやろう』
私はシャルマ様と、制約を交わした。