夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「……やれやれ。何とか上手くいったな」
ディアスの動きを何とか封じ、アカリ様を乗せた船は無事に出港した。
アカリ様に兄上がいなくなったと連絡した後、あてはなかったが港街方面に出向いていたのは正解だったな。
アカリ様が兄上の元へ行こうとすれば、必ずディアスは……いや、シャルマ様はそれを阻止する手を打ってくる筈だった。
シャルマ様は手段を選ばない。人目に付かない場所でアカリ様の命を奪う可能性が十分にあった為、私はまず居場所の分からない兄上よりもそれを探す彼女の護衛を優先したのだ。
結果は成功。
船に忍び込もうとしていたディアスの部下は全員あばき出して引きずり降ろし、更に船上でのアカリ様の護衛にジュゼを付けた。ジュゼは老いはしたが、若き頃はディアスにも劣らない優秀さで腕は確か。私が今頼る事が出来る唯一の存在だった。
今後シャルマ様がどう動くか分からない為まだまだ油断は出来ないが、とりあえず一安心。