夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
大切な人達が、色んな形で護ろうとしてくれていた。
そんな事も知らないまま、僕はただただ彷徨い歩いていた。
どんな未来に続くか分からない道を……。
人に示してもらってばかりの道を歩いていても、答えなんて……。ゴールなんて見えてくる筈ないのに、僕はまだ、この時その事に気付いていなかったんだ。
……
…………。
「っーー……やっと、着いた」
歩いて歩いて、ようやく辿り着いた目的地。
「月姫の祈り」の舞台になった、砂浜。
ザザァ……ッ、と静かに波打つ夜の海。
空には白金色に輝く満月が、僕を見下ろしていた。
「……」
夜空を見上げてスーッと息を吸い込むと、そのまま後ろに倒れて大の字で砂浜に寝転ぶ。細かい砂が積もって出来たその場所は、柔らかい布団のように僕を受け止めてくれた。
右を向いて、左を向いて……苦笑いを溢す。
ーー何も、ない。
当然なのに、誰もいないこの場所に寂しさを覚えた。
あんなに来たかった場所なのに、辿り着いて、何もない現実を知ると堪らなく哀しくなる。