夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
***
「ジュゼさん、本当にありがとうございました!」
「私は何もしておりません。主人の命に従ったまでにございます。
お礼は、どうかアラン様に言って差し上げて下さい」
お祖父様が手配してくれた迎えの馬車に私を乗せながら、ジュゼさんはそう言って微笑んでくれる。
けれど、何か言いたげに私をずっと見つめていた。
「?……ジュゼさん?」
「本当は……。
本当は、私は貴女様にはアラン様のお傍に居て頂きたい」
思わず声を掛けた私に、ジュゼさんは真剣な瞳になると自分の気持ちを伝える。
「私はあのお方を幼い頃より知っております。その幼少期が、同年代の子供達とは全く違う過酷なものだった事も……。
お父上様には特別に見てもらえず、お母上様もご自害され、そして祖父のシャルマ様の厳しい教育の元、笑顔のない日々……。
そんなアラン様にとって、貴女様はやっと見付けた光のようなもの。
貴女様と居る時のアラン様は、今までに見た事がないくらい幸せそうなのです」
「っ……」
アラン様の事を想うジュゼさんの言葉は、痛いくらいに伝わってきて、私の胸をチクンッと刺した。
「ジュゼさん、本当にありがとうございました!」
「私は何もしておりません。主人の命に従ったまでにございます。
お礼は、どうかアラン様に言って差し上げて下さい」
お祖父様が手配してくれた迎えの馬車に私を乗せながら、ジュゼさんはそう言って微笑んでくれる。
けれど、何か言いたげに私をずっと見つめていた。
「?……ジュゼさん?」
「本当は……。
本当は、私は貴女様にはアラン様のお傍に居て頂きたい」
思わず声を掛けた私に、ジュゼさんは真剣な瞳になると自分の気持ちを伝える。
「私はあのお方を幼い頃より知っております。その幼少期が、同年代の子供達とは全く違う過酷なものだった事も……。
お父上様には特別に見てもらえず、お母上様もご自害され、そして祖父のシャルマ様の厳しい教育の元、笑顔のない日々……。
そんなアラン様にとって、貴女様はやっと見付けた光のようなもの。
貴女様と居る時のアラン様は、今までに見た事がないくらい幸せそうなのです」
「っ……」
アラン様の事を想うジュゼさんの言葉は、痛いくらいに伝わってきて、私の胸をチクンッと刺した。