夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
迷いなんて、もうなかった。
自分でも何故だか分からないけれど、迷う事もなく、ただひたすら真っ直ぐに私はその場所に向かっていた。
私の召使いになってくれた"バロン"と出逢った砂浜ーー。
導かれるように。
まるで互いの魂が引かれ合うように、その場所へーー……。
「はぁ……はぁ……っ」
ザザァーー……ッと、波の音だけが響く中で、切れた息を整えながら広い砂浜を見渡した。
何度何度運命の神様に遮られても、必ず貴方を見付ける。
どんなに姿を変えていようと、どんなに人に紛れ込んでいても……。
「!!ーーッ、……」
視線の先に、砂浜に寝転がる人影を見つけた瞬間。ドクンッて、さっき走った時なんかよりもずっと大きな鼓動が私の中に響いた。
その距離は遠くて、満月とはいえ辺りは薄暗くて、本当にそこに居る人が愛おしい人なのか肉眼では分かる筈なんてない。
……けど。
キュゥ……ッ、て締め付けられる胸が痛いのに暖かくて、私の心が、あの人が誰なのか確証していた。