夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
【港街/パン屋】
「ご機嫌よう、アカリ様。
どうです?今から食事でも」
休日の午前11時。
私が紫の薔薇の花束をレジのカウンター越しに差し出すと、アカリ様は目を見開いて固まった。
無理もない。
アルバート様の孫娘と言えども、彼女は一般庶民としての生活が長く、今も使用人等を雇わない生活をしていると聞いた。
珍しい紫の薔薇を100本揃えた花束。
私の知る女達は歓喜の声をあげて受け取るものだが、アカリ様は違う。
見た事もない贈り物に言葉が出ないのも無理はないな。
しかし、まさかこんな小さな店で働いているとは……。
赤い屋根に白壁の外観は確かに可愛らしいが、最近流行り始めたカフェとは違いお洒落な雰囲気に欠ける。
それに、白を基調としたバンダナにエプロンの制服。ピンク色のラインで縁取りしてあるが、これは……。
ーーいや。
うん、なかなか悪くはないな。
「ご機嫌よう、アカリ様。
どうです?今から食事でも」
休日の午前11時。
私が紫の薔薇の花束をレジのカウンター越しに差し出すと、アカリ様は目を見開いて固まった。
無理もない。
アルバート様の孫娘と言えども、彼女は一般庶民としての生活が長く、今も使用人等を雇わない生活をしていると聞いた。
珍しい紫の薔薇を100本揃えた花束。
私の知る女達は歓喜の声をあげて受け取るものだが、アカリ様は違う。
見た事もない贈り物に言葉が出ないのも無理はないな。
しかし、まさかこんな小さな店で働いているとは……。
赤い屋根に白壁の外観は確かに可愛らしいが、最近流行り始めたカフェとは違いお洒落な雰囲気に欠ける。
それに、白を基調としたバンダナにエプロンの制服。ピンク色のラインで縁取りしてあるが、これは……。
ーーいや。
うん、なかなか悪くはないな。