夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
次第に高鳴ってくる鼓動背中を押されて、すぐに駆け寄りたい気持ちでいっぱいになった。
けど、今の自分……。白金色の髪と瞳の容姿を思い出したら、脚がすくんだ。
この姿を、彼女はどう感じたんだろう?
そう思ったら怖くなって、すぐにこの場を逃げ出したいと思った。
鳥のように羽根を広げて、翼を羽ばたかせて飛び去りたいと思った。
……でも。
そんな僕に、彼女は微笑った。
怯える僕の心を鎮めてくれたのは、彼女の笑顔。
言葉でもない。
触れ合う事でもない。
僕を癒してくれたのは、アカリさんの笑顔だった。
視野が、滲む。
もう、何もいらない。
彼女の笑顔が見られるなら、それだけでいいと思った。
凍っていた心が溶けたと思ったら、すくんでいた脚も解けて、真っ直ぐに彼女の元へ向かっていた。
触れた瞬間に流れる涙。
情けないけど、アカリさんの前では気持ちと一緒に涙が溢れてしまうんだ。
"っ……微笑って?
貴女の笑顔を、もっと……見ていたいっ"
僕の我が儘なお願いにも、貴女は応えてくれたね。
たくさん苦しんでる君を知らずに、僕はとても残酷な事をし続けていた。
……そして。
これから、また、傷付ける。
そんな事を知らず、ただ束の間の幸せに巻き込んだ僕を……。君はそれでも、愛してくれますか?