夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
『っ……お願い、マオ様。白金色の容姿《その姿》には、もうならないで……?』
付き合い始めて少し経ったある日、ミネアさんにそうお願いされた。
身内にも、恋人にも受け入れてもらえない自分の本当の姿。
偽りの姿でしか誰とも一緒に居られない日々は、いつも心が孤独だった。
……でも。
大切な人を失うくらいならば、と……今まで耐えてきた。
記憶のない僕は、知らなかった。
ミネアさんが僕の本当の姿を拒んでいた、本当の理由。
彼女は怯えていたんだ。
本当の僕を知っている人に、僕が会ってしまう事。
そして、僕の記憶が蘇ってしまう事をーー……。
自分の孤独にばかり気持ちが行ってしまっていたこの時の僕は、そんな彼女の不安に気付けなかった。
ありのままの自分を受け入れてくれたアカリさんへの想いが溢れて、ただただ……幸せだった。
嵐の前の静けさ。
最後の試練がもうすぐそこまで来ている事なんて知らず、この別荘でアカリさんと過ごす日々は、輝いていた。