夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
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「ーーッ……すごい、月も星も綺麗だな」
どうしても寝付けなかった僕は、ベッドから起き上がりバルコニーに出て夜空を見上げた。
砂浜に辿り着いて、独りで見上げた時も綺麗だとは感じたけれど……今は格別と言っていい程により一層キラキラして見える。
アカリさんに出逢えて、彼女が僕の全てを受け入れて包み込んでくれたからだ。心を覆っていた靄《もや》がなくなって、澄んだ気持ちで見上げる夜空はこんなにも違う。
「ーーマオ、さん?」
「!……アカリ、さん?」
隣から自分を呼ぶ声が聞こえてハッとした。
目を向けると、そこには隣の部屋のバルコニーに立って僕を見つめているアカリさんの姿。
彼女の長い黒髪を夜風がフワッと揺らして、良い香りを運んで来てくれる。それだけで弾んだ胸が、僕を見付けて嬉しそうに微笑むアカリさんの笑顔に、更にドキンッと大きく音を鳴らして身体に響く。
可愛いとも、綺麗とも言えるような……。いや、そんな言葉では言い表せないくらい、アカリさんは僕の目に特別に映っていた。