夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

パン屋の制服に身を包んでレジ係をしていたアカリ様を見て、私は不覚にもフッと微笑ってしまっていた。

何故だろうか?
高価なドレスやアクセサリーで着飾った令嬢達よりも、目の前の彼女を見ていたいと思うのは?
これも”見惚れてしまう”という事の一つなのだろうか?

そんな事を考えていると……。


「ーーあ、あのっ!
仕事中なので帰って頂けませんかっ?」

「……は?」

穏やかな気持ちで返答を待っていた私に、アカリ様が薔薇の花束を押し返す。


「これから忙しくなるんです。
パンを買いに来た訳じゃないなら、お帰り下さい」

「……」

一瞬、何を言われたのか分からない。

まさか今、こいつ私に「帰れ」と言ったのか?
心の中で”信じられない”と、”まさか”という思いが渦巻き立ち尽くす。
そんな私を見てアカリ様は溜め息を吐くと、レジカウンターから出て来て小声で言った。
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