夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
でも。
ゆっくりと扉の前から立ち去ろうとした、その時……。
「ーーア、アカリ……さん?」
「!……マオさん?」
部屋の中から戸惑ったように自分を呼ぶ声が聞こえて、私は慌てて扉の前に戻ると張り付くようにして話しかけた。
「良かった!もう寝ちゃったのかと思いました!」
「す、すみません……」
「いいんです。さ、開けて下さい!」
沈んだ気持ちはまた一気に上昇。謝る彼の言葉を遮るようにして言った。
……。
けれど、またシーンとして……マオさんの返答もなければ、目の前の扉が開かれる様子もない。
もう一度語りかけてみる。
「?……マオさん?」
「っ……あの、やっぱり……マズくないですか?」
「!……え?」
「その、もう夜遅いですし……。部屋に二人きりというのは、その……」
「っ……」
言われてみれば、確かに彼の言い分は分かる。
決して世間的に間違ってはいない、むしろ誠実とも言える言葉だった。
ーーしかし。
この後に続く言葉が、私に火をつける。