夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
アカリさんは、本当に良い意味で変わっていた。
『もういいです』って、てっきり怒って部屋に戻ってしまったのかと思っていたのだが、どうやら管理室に行って全ての部屋の扉を開ける事の出来るマスターキーを取りに行っていたらしい。
つまり、撤退したのではなく、ここへ乗り込む為の準備をしに一度去っただけ……。
大人しそうな見た目と違って、強くて逞しくて……。
「あ!そうだ、これ見て下さい。
あの時の黒ネコちゃんです、大きくなったでしょう?」
ポケ電に保存された写真を僕に見せながら、ベッドに座る僕の隣に座って……。変な感情はないんだろうけど、グイグイと僕の方に寄ってくる。
自ら、僕に歩み寄ってきてくれるーー。
この人は、きっと……。
ううん。絶対に、自分からは僕の事を見捨てたりしないんだろうな、って感じた。
僕が自分という部屋の中に閉じ籠ってしまっても、彼女ならば何度も何度も、窓を開けて真っ暗闇に光と心地良い風をくれる。