夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「やっぱり、アカリさんは不思議な人ですね」
「……不思議、ですか?」
どういう意味だろう?と首を傾げたが、彼はその問い掛けには答えずに微笑んで言った。
「分かりました。頑張ってみます」
「え?」
「朝ご飯、作ってみます。
その代わり、下手くそでも前言撤回はナシですよ?」
「!っ……ほ、本当ですか?!」
マオさんの言葉が嬉しくて堪らない。私は二児の母だという事も忘れてその場でピョンピョンと飛び跳ねて喜んでしまった。
それを見たマオさんは、また吹き出すように微笑って……。私はハッと我に返ると、恥ずかしさで赤くなった顔を押さえながら背を向ける。
「じゃ、じゃあ私!一度自分の部屋に行って着替えてきますね。また後で!」
「はい。また後で」
穏やかな声に送られて、私はマオさんの部屋から出ると扉をパタンッと閉めた。