夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

「じゃあ、マオさんはお野菜の皮をコレで剥いてもらっていいですか?」

「はい、わかりました」

アカリさんの祖父アルバート様が持つ別荘の厨房。
2人で朝食作りをする事になった僕は、人生初の料理に挑戦する事になった。スープに使う野菜の下準備を頼まれて、ピーラーという道具を片手に皮剥きに挑む。

まさか、自分が台所に立つようになるなんて……。

今までの自分を振り返って、内心驚いていた。
それに、初挑戦なのに僕は今ワクワクしている。緊張や不安よりも、楽しい、嬉しいと感じていた。

何故かって?
それはきっと、アカリさんと一緒だからだ。
彼女と居ると、何でも頑張れる気がする。彼女が喜ぶなら、何でもやってみようって思えるんだ。

作業をしながら、ちらっと隣で包丁を使っているアカリさんに目を向ける。
今にも鼻歌を歌いそうなくらいに楽しそうな表情を見て、僕はホッとした。
< 340 / 411 >

この作品をシェア

pagetop