夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
それなのに、なんでーー?
モヤモヤしてイライラして、こんな気持ちになる自分が分からなくてまたイライラする。
チラッと視線を少し上げて見ると、戸惑った様子のアカリさんが映った。
困らせたい訳じゃない。
本当は、一緒に楽しく過ごしたい。
この場さえ自分が我慢して乗り越えれば、きっとそのうちこんな感情は消えて自然に出来る。
そう思った僕は、拳をギュッと握り締めて笑顔で声をかけようと思った。
しかし……。
「ーーあ!そう言えば、服……着替えたんですね!」
先に気不味い沈黙を断ち切ろうとしてくれたアカリさんが言ったその一言が心に突き刺さって、ピキッと音を立ててヒビが入った。
そしたら、そのヒビから僕の心の中を充満していた黒いモヤが溢れ出して、止まらなくなる。
「あのセーター、とっても似合ってましたよ?今の服も素敵ですけど……」
「旦那さんの服、だからでしょう?」
後から自分でも驚く位の冷たい声が、僕の口から飛び出していた。