夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
なんて、謝ればいいんだろう?
ただ「ごめんなさい」って言うだけは、違う気がする。
アカリさんは優しいからきっと「もういいですよ」って言ってくれそうだけど、表面上で謝っても意味がないと思った。
……でも。
そもそも自分自身が何故イライラしていたのか分からないのに、それを伝えるのは難しい。
……
……扉の前で悩む事数分。
うん!
長ったらしくなってしまうけど、自分がああ言ってしまった経緯をアカリさんにちゃんと話そう!
そう決めた僕が扉を開けると……。
「ーーあ!マオさん!」
名前を呼ばれて、一瞬"まさか"と思った。
けど、絶対に聴き間違えたりしないと言える位に美しいその声にゆっくり視線を向ける。
すると足早に歩み寄って来て、僕の間近に来た彼女がこう言った。
「ちょうど良かったです!
お腹すいてませんか?夕飯作ったんです!」
明るい声。
さっきの事なんてなかったみたいに、屈託のない笑顔。
変わらない笑顔が、僕の前で輝いていた。