夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
……
…………。

「まさかお祖父様が持っているこの砂浜が、『月姫の祈り』のモデルになっているなんて……。思いもしませんでした」

少し散歩をした後。
砂浜に座って僕がここに来たかった理由を話すと、アカリさんは少し驚きながらそう言った。

でも僕は、初めて彼女の名前を聞いたあの日から何か繋がりがあるんじゃないか?って思ってた。
『月姫の祈り』が舞台化された際に使われた曲名は、"明るい里"と書いて『明里』。
彼女の名前と、一緒だったから……。

そして、黒髪に黒い瞳のアカリさんは僕にとって月姫様のイメージそのもので……。何だか色んな運命を感じる。


「アカリさんは、前世とか来世って信じますか?」

持って来た月姫の祈りの絵本を見つめながら、僕は尋ねた。
月姫様と幼なじみの男は、また巡り逢えるよう、今度こそ結ばれるよう来世に願いをのせて祈る。
前世と来世。脳の手術をする前の記憶すらのない自分は、前世を信じる以前の問題で……。
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