夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
アカリさんと砂浜で約束を交わしてから一週間後ーー。
「これはマオ様。よく来て下さいました」
「あ、いえ。こちらこそ、お招き頂きありがとうございます。
それと、この度は奥方様のご懐妊おめでとうございます」
僕は御社の取り引き先であるジェイク様の邸《やしき》のパーティーに招かれ、出席していた。
と、言っても別件で来られなかったアランの代理として……だけど。
自宅に戻ってからは、また以前のように髪を染めてアイレンズを着けて、灰色の髪と瞳。
一つ変われたのは、伊達眼鏡を外せるようになった事。
無断で家を出て、何の連絡もせず自宅に戻った僕に祖父は何も言わなかった。
僕が家出した事に自体に気付いていなかったのか、それともそんな事は祖父にとってはなんの支障もない些細な事だったからかも、知れない。
アランは、とても心配してくれていたんだって分かるくらいの表情で迎えてくれて、「兄上、すみませんでした」って僕に謝った。
アランが謝る事なんて何一つないのに……。
けどそんなアランを見て、僕は少しでも社長である彼の力になりたい。役に立ちたいと、思ったんだ。