夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「あ、っ……と。
僕は……ど、どっちでも……」
心の迷いが、そのまま口から出てしまう。
僕の一言に、あっという間にこの場はシーンとなってしまった。
完全な失言。
「どっちでも……」なんて、花婿が花嫁に言うべき言葉ではない。
どうでもいい、と投げやりな返答だと捉えられても仕方のない発言だ。
周りの様子にハッとして、言ってはいけない言葉だったと気付いた時には遅くて……。
チラッと辺りの様子を伺うと、係の人達が「信じられない」という視線で、僕を見ていた。
怖くて、顔をこれ以上上げられない。
きっと、ミネアさんもハンク様も、僕をそんな視線で見ている事だろう。
ズキッと、胸なのか、胃なのか分からない部分が痛くなってきて……。
この場から逃げ出したいのに、足が一歩も動かない。
自分で蒔いた種でありながら、僕にはこの状況をどうする事も出来なければ、逃げ出す事すら出来なかった。
すると……。
「ーーそれは、選べませんよね?マオ様。
ミネア様は、どちらもとてもお似合いですから」
そう言って助け舟を出してくれたのは、僕に付いて一緒に来てくれていたディアス。