夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
マオ様は、確かにバロンともヴァロンとも雰囲気が違ったけれど、人をとても美しい瞳で見つめるところは全く変わっていなかった。
あと、私の話をちゃんと聞いてくれるところも……。
「……てな感じでね。ジェイクってば本当に娘に甘いんですのよ?」
「はははっ、いいじゃないですか。とても、お幸せそうです」
私が昔、召使いのバロンを無理矢理アカリから奪った時と同じ。
下らない愚痴や日常の話を、嫌な顔せずに聞いてくれて、返事をしてくれるの。
だから会話をしていくうちに何だかとても懐かしい気持ちになってしまって、アカリの為の時間の筈が、ついつい自分の楽しい時間になっていた。
ーーいけない、いけない。
私が今を楽しんでしまってどうするのよ!
ハッとして気を取り直し、マオ様の事を何か尋ねようとした時だった。
「一つ、お伺いしてもいいですか?」
「!……え?」
絶好のタイミングでマオ様からの話題。
私はこれを逃すまいと必死にコクコクと頷きながら、マオ様の顔を覗き込む。