夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

いつかアカリが言っていたわ。
貴方の言葉は"夢の言葉"。不思議な呪文みたいだ、って。
私も貴方の言葉に導かれて、今、とても幸せよ?
だから……。

「"特別な好き”は、言葉ではありません。
いつの間にか自分に宿り、とっさに溢れ出すものなんですよ?
ビックリ箱のように、自分でも驚く行動をしてしまうくらいにね?」

だからどうか、貴方自身も。
貴方自身も、幸せになってーー。

そんな想いを込めて、私はあの時のバロンの口調を真似て、マオ様に言った。


「……昔、ある人が私にそう教えてくれたんです。
マオ様にもそんな方、いらっしゃいますか?」

黙って私の言葉を聞いていた彼にそう尋ねると、暫く考え込んだ末にマオ様は突然深く頭を下げる。


「っ……ありがとう、ございます!
あの、っ……すみません!本日はこれで失礼致します!」

そして、そう私に言うとすぐにその場を駆け出して去って行った。
マオ様の背中を見送りながら、私は祈る。

神様、どうか彼が本当の居場所に帰れますようにーー。
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