夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
ディアスは最初僕の言葉に少し驚いていた様子だったが、すぐに微笑んで返事を返す。
「婚約者様の元へ行かれたいという申し出を、私が駄目という訳ないでしょう?
ただ、マオ様は本日アラン様の代理でこちらへいらっしゃっているのです。その役割は、しっかり務めていただけませんと」
そう言うディアスは、僕のミネアさんの元へ行きたいという真意に気付いていながら、明らかに見ないようにしていた。
「それに、突然のご訪問はミネア様にとっても不都合かも知れません。まず連絡を取って、後日お伺い致しましょう」
正論を突き付けて、僕を黙らせようとしていた。
……分かってるよ。
ディアスの言ってる事は、いつも正しくて間違った事じゃない。
仕事で忙しいミネアさんの事を考えて、僕だっていつも彼女からの連絡を待っていた。
アルバート様の別荘から帰って来てからも、会って話したくて、気持ちを確かめたくて電話を掛けても繋がらなくて。『会いたい』とメッセージをしたけどミネアさんからの返信は、なくて……。ずっとずっと、待ってたんだ。
っ……そう。
僕はいつだって、待ってるだけだったんだ!!