夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
ーーえっ?
この瞬間。
暖かい"何か"が僕の中に流れ込んでくる気がした。
何故だか分からない。上手く言えないけれど、触れているディアスの腕を通じて伝わってきたのだ。
自分の事を、主従関係以上に大切に想ってくれているディアスの感情が……。
でも、まさか、って思って。自分の感情が昂って感じた錯覚だと思って、気のせいだと流そうとした。
自分の一族が持つ不思議な能力の事なんて知らなかった僕は、己を受け入れたと同時に芽生え始めた自分の能力に気付いていなかった。
「……行って下さい」
「!……え?」
「全ては貴方様の御心のままに……。
この場の事は、私にお任せ下さい」
そう言われてハッと我に返ると、ディアスが僕に頭を下げていた。
……そうだ。
僕は、行かなきゃ!
不思議な感覚が気にならないか?と問われたら嘘になるが、今はただようやく気付けた自分の気持ちを大切にしたくて、他の事は考えないようにしようと思った。
「ディアス。ごめんね、っ……ありがとう!」
言葉では言い表せないけど、精一杯の感謝の言葉を残して僕はその場を駆け出した。