夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
初めてお会いした日の事は、今も忘れない。
何故なら、私はこの日から”自分という存在”を手に入れる事が出来たのだから……。
「ーーリオン様。
これが私の息子のディアスです。
将来リオン様の側近を務める事になりますので、どうぞお見知り置き下さいませ」
それは、私が7歳の時だ。
我が家の代々勤め先であるシャルマ様の豪邸を、父と共に訪れた際の事。
私は10歳のリオン様にお目通りした。
パッと見た第一印象は、決して良いものではなかった。
一言で表すのならば、ボーッとした人。
白いシャツと茶色いズボンに身を包み、元々少し癖毛ようだが寝癖をあまり気にしていない様子の灰色の髪。
それはとても、それなりの身分のある家のご子息とは思えなかった。
しかも、中庭で地面に直接尻餅を着き、木陰で読書。
その、私が今まで見てきた上流階級の人間や、リオン様のお父上様であるシャルマ様との違いに戸惑いを隠せなかった。