夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
暫く見つめ合っていると、私達に降り注ぐ雪が次第に強くなってきた。
「……電車が止まってしまう前に、戻ります。
アカリさんも早く帰って、暖かくして下さいね?」
「はい、私は大丈夫です。
マオさんこそ体に気を付けて、お仕事頑張って下さい。私、応援してます」
「ありがとうございます。……どうか、お幸せに」
「マオさんも、お幸せに」
「……」
「……」
別れの挨拶を交わしたのに、私達はまたほんの暫く見つめ合っていた。
すると「間も無く電車が発車致します。雪の為、本日はこれで最終になる可能性がございます。ご乗車の方はお急ぎ下さい」と、駅のアナウンスが響いて来て、私達の時間にピリオドを打つ。
「ほらほら、行かないと!
早く帰って、ミネアさんと赤ちゃんに誕生日を祝ってもらって下さい!」
私はマオさんの背後に回り、駅の方に向かってその背中をグイグイ押した。
そして、心の中で呟いた。
お誕生日、おめでとう。
生まれてきてくれて、ありがとう。……と。
するとマオさんは「はい」って小さく呟くように返事をして、もう振り返る事もなく、駅の方へ歩いて行った。
……
…………。