夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
このままで、いいのーー?
時折僕の中に浮かぶその問いかけに、この三年間答えられないまま過ごしてきた。
記憶を失っているせいだろうか?
自分の事なのに、自分が分からない。
僕は、真っ直ぐ答える事が出来ないんだ……。
「ーーじゃあ。
先にマオ様の衣装を選びましょう!」
「!っ……え?!」
「マオ様のタキシードを先に選びましょうよ?
ご自分で選ぶの苦手でしょう?私が選んで差し上げますわ!」
ウェディングドレスの件が落ち着いてすっかり自分の世界に入り込んでいた僕に、ミネアさんが声を弾ませて言った。
一難去ってまた一難。
自分の衣装の事など全く頭になかった僕の心臓はドキリッと跳ねて、冷や汗が出てくる。
「ん〜……灰色、黒……。
いえ、やっぱり結婚式ですもの!白がいいわよね!
ほらっ、マオ様!着てみて下さいな!」
あれよあれよと言う間にミネアさんはタキシードを選ぶと、「あ、あのっ」と言う僕の背中を押して試着室に連れて行く。