夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「ーーはい!そこまで〜!!」
「ーーッ?」
ミネアさんの言葉に、僕はハッとした。
顔を上げた瞳に映るのは、僕とキャナルさんの間に割って入った彼女の背中。
「キャナルと言えども、あまり近付いたり触ったりしてほしくないわ!
マオ様はわたくしの婚約者ですのよ?」
そう笑いながら言うミネアさんに、キャナルさんが「失礼致しました!」と慌てて謝っている。
現実で、僕を助けてくれたのはミネアさんだった。
……じゃあ。さっきのは、何だ?
僕は、一瞬夢でも見ていたのだろうか?
夢にしては、ハッキリ聴こえた声。
それに、胸に感じた暖かさは……。まるで以前から知っているかのように、懐かしいものだった。
先程自分が陥った、夢の世界のような感覚に戸惑っていると、ミネアさんはキャナルさんから奪い返した伊達眼鏡を僕にそっとかけてくれる。
間近で見上げられて、微笑まれて、僕の胸はチクンッと痛んだ。