夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「ふふっ。
マオ様の素敵なところは、わたくしだけが知っていればいいんですの!
他の人になんて、見せたくないですわ」
「っ……」
普段は大人っぽいミネアさんが、僕に向けてくれる少女のような可愛い笑顔。
僕に、恋をしてくれている表情。
それを改めて見たら、先程の夢のような……。
自分の妄想なのかは分からないけど、その世界で別の女性を気にしていた自分が嫌になる。
こんな、何の取り柄もない僕を、現実世界で「愛している」って言ってくれる彼女を、大切にしなくては……。
「すみません。少しお手洗いに、行ってきます」
さっきの事は、きっと気のせいだったのだ。
自分の中に浮かんだ記憶の断片を、僕はそう振り払う事にした。
そして、気持ちを切り替える為に1人で洗面所へ向かった。