夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
『”息子”じゃないでしょ?
この子、女の子じゃない。……ねっ?』
少し首を傾げて、目を細めて、柔らかくフワッと微笑えみながら、リオン様はそう言ったんだ。
……。
私には、双子の兄がいた。
しかし、兄は生まれつき身体が弱く、4歳になるのを待たずしてこの世を去った。
その時から、私はその兄の代わり。
代々名家に仕える執事として、性別を捨て、自分を捨て……。兄ディアスとして生きてきた。
跡継ぎの男子を産めない女は”役立たず”と言われる世の中。
「ディアスの代わりに、あんたが代わりにいなくなればよかったのにッ……!!」
母親にそう言われたあの日から、長い髪を切り捨て、スカートやお人形……。
”女”であるものは全て棄てて生きていくと決めた。
死んだのは妹で、ディアスは生きている。
周りがそう信じ、誰もが私を兄だと……。
女の子だなんて、疑いもしなかった。
……それなのに。
リオン様は”私を見て”言ってくれた。