夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

知らなかった。
記憶を失くしても、彼《マオさん》が強く私を想ってくれていたなんて……。
知っていたら、私は絶対にすぐに駆け出して会いに行っていたよ。

けど、互いが居る場所の距離が遠いのと同じように……。
この時の私には、彼の心を知る術などなかった。


それに、私は只今思いがけない事態に困惑中ーー。


「このパンケーキを一つと、ホットコーヒーとアイスティーを……」

テーブルを挟んで私の正面の席に座っているアラン様が、メニューを片手に店員さんに注文をしている。

ここは港街の繁華街エリアにある、最近出来たばかりのお洒落なカフェ。
昔話に出てくる、森の中にある小人の家をイメージしみたいな丸太小屋の外観がとても可愛いらしい。
一度来てみたいと思いながらも、いつ近くを通っても混雑していて、ヒナタやヒカルを連れての来店は難しいな、って思ってたお店。

そこに、まさかのアラン様と来ているなんて……。
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