夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
何故こうなったの?
彼は一体何をしに私のところへ?
勤め先のパン屋に紫の薔薇の花束を持ってレジカウンター越しに声をかけられた時は、一瞬驚き過ぎて声も出なかった。
でも、少し冷静になって考えると……。思い当たる事は一つ。
以前ミネアさんに自分の気持ちを伝えに行った際に、あの場にいたアラン様。
きっとあの時のミネアさんのやり取りを見ていて、マオさんに再び近付く私を邪魔だと思ったのだろう。
これはきっと、私にマオさんを諦めるよう仕向ける為の作戦なんだ。
そうはいかない!と、じっと気合を入れてアラン様を見つめる。
すると、注文を終えて私の視線に気付いたアラン様がフッと微笑った。
「何か言いたげだな?」
「……いえ。別に何も」
余計な事を話したくなくて、私は彼の問い掛けを無視してグラスの水を飲みながらそっぽを向いた。