夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
ヴァロンなら、絶対一緒になってパンケーキを食べてくれるだろう。
むしろ、私よりも食べちゃって、その上「こっちの味も食おうぜ!」って、全種類注文しちゃうの。
幸せな想像の中で、愛しい人は今も鮮明に思い出す事が出来て、私に大好きな笑顔で微笑んでくれる。
首を少し傾けて、意地悪そうにも見えるのに、見つめてくれる瞳はとても優しい……。
「ーークリームついてるぞ」
「えっ?……」
夢を醒まされるようなその言葉に、ハッとする間もなかった。
唇に触れた感触に、幸せな想像が、まるで幻だったかのように消えた。
唇から感じる生温かい感触と、コーヒーの匂い。
笑顔も、消える。
自分だけ時間が止まったみたいに、身体が強張る。
瞬きも出来ない見開いた瞳に映るのは、顔を少し傾けて目を閉じている、アラン様の顔。
……な、に?
え?……っ、え?
何が起こっているのか、全く頭が付いていかない。
そんな私の唇を、テーブルに手をついて前屈みになって、唇を密着させたままのアラン様の舌が……。ペロッと、舐めた。