夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

「ッーー何するのよッ?!」

私の叫び声と同時に、ガッターン!ガッシャーン!という物音が店内に響く。
咄嗟にアラン様を突き飛ばした衝撃で、テーブルの上の食器や座っていた椅子が倒れたからだ。

でも、そんなの知らない。
周りのお客さんや定員さんが驚き騒めいているが、今の私にはそんなの目に入らなければ耳にも届かない。


ーーキス、された?

アラン様を突き飛ばした手が震える。
唇を押さえて、さっきの感触が夢でなく現実でと実感すると、その震えは全身に行き渡っていく。

信じられないーー。
いくらシャルマ様から命令されていたとしても。私がマオさんにとって邪魔な存在だとしても、こんなの酷い。


けど、それよりも……。
怒りよりも悲しみが込み上げてくる。

別の男性に、奪われてしまった。
これまで大好きな彼以外触れる事がなかった唇を、他の男性に許してしまった。
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