夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

「!……おかえりなさいませ、アラン様。もうよろしいのですか?」

待たせてあった車がある場所へ戻ると、一礼した運転手が後部座席の扉を開けながら尋ねてくる。
私は「ああ」と短く答え車に乗り込むと、すぐ横に置いてあるアカリ様に受け取ってもらえなかった紫の薔薇の花束に目を向けた。

花言葉は誇り、気品、尊敬、エレガント。
私の母が1番好きだった花。
母は自宅の庭で薔薇を育てていて、生前機嫌のいい日は私の事も誘ってくれた。そして「いつかアランにも好きな人が出来たら、この花をプレゼントしなさい」と言われた。

誇り、尊敬は母が父に示した愛。
気品、エレガントは母が父の為に目指した姿。
この花は母の想いの花。

歪んだ愛の中で育ち、いつまでも真実の愛など私には見付けられる事は出来ないと思っていた。
だが、ようやく出逢う事が出来た。


アカリ様ーー。
あの方こそ、この花を贈るに相応しい。
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