夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
16歳の時。母親が亡くなって、気付いた。
わたくしには、母以外の味方なんて誰もいない事。
「ミネアは強いから、一人でも大丈夫だよな?」
「私がミネア様と?そんな、恐れ多い……!」
……誰も、わたくしをわたくしとして見てはくれない。
全ては仕事の為の付き合い扱いされしまう。
いつしか、甘え方なんて分からなくてなっていたわ。誰かと居て楽しむ事、笑う事。出来なくなっていった。
傷付きたくなくて、偽りの自分を創り上げた。ずっとずっと仕事の顔をしていれば、自分の中で割り切る事が出来て楽だった。
ーーけれど、出逢ってしまった。
『……では。チェス、しましょうか?』
本当のわたくしを見抜いて、夢のように楽しい時間をくれた。
『……あんたなら、大丈夫だよ。きっと、大丈夫だ』
その”大丈夫”は、今までの男達が放った言葉とは全く違う優しい響きだった。
嬉しかった。嬉しかったの。